院長ブログ3:院内ギャラリーについて

当クリニックの待合室の左壁面に、ちょっとしたギャラリーを設けてあります。診察をお待ちの際に、ご覧になって下さい。そこに飾ってある絵についてご説明します。

エドヴァルド・ムンク 《AttractionII 魅惑II 》 1896年

「叫び」で有名なムンクの作品です。2018年に東京都美術館であったムンク展に際に購入しました(もちろん、実物ではありません)。元々はリトグラフの作品です。中央に見えるアルファベットの「i]のように見えるのは、月と海に反射した月光を表していて、ムンクの作品に繰り返し現れます。また、向かい合う男女の構図もムンクがよく描いたモチーフです。

小山硬(おやま かたし) 《寿富士》

日本画家、小山硬氏(日本美術院同人、愛知県立芸術大学名誉教授)の作品です。氏は前田青邨の最後の弟子で、富士山の絵も多く描いています。「赤富士」は、葛飾北斎も「富嶽三十六景 凱風快晴」で描いたように、多くの画家の題材になっています。「赤富士」は、めったに見られない貴重な姿なので、昔から縁起物として知られています。金色で描かれた雲とのコントラストが素晴らしいと思い、開業にあたり購入しました。

ル・コルビュジェ《Les dés sont jetés 賽は投げられた》

ル・コルビュジエは、設計した17作品が世界文化遺産に登録されている、近代建築三大巨匠のひとりですが、数多くの美術作品も残しています。当時最先端だったピカソらのキュビスムを批判して、「ピュリスム」を提唱し、活発な美術活動を展開しました。この「賽は投げられた」はその頃に描かれた作品です。

「賽は投げられた」は、カエサルが元老院に背いて、ルビコン川を渡るときに発した言葉とされています。「もはや引き返すことはできない、行くしかないのだ」という意味で、大学病院を辞め開業する時の私の心情にも近いものがありました。

このコルビュジエの絵は、表参道ヒルズ同潤館にある「Galerie 412」さんから譲っていただきました。安藤忠雄さんは、表参道ヒルズを設計する際に、表参道のシンボル的な建物であった同潤会青山アパートメントの面影を残すように設計されました。モダンな表参道ヒルズの正面向かって右側に、同潤館として生まれ変わりました。「Galerie 412」はその3階にあります。小さい画廊ですが、ユニークな個展を開いています。表参道ヒルズにお寄りの際はぜひ立ち寄ってみてください。

Galerie 412