イソトレチノインは、重症ニキビや難治性ニキビに高い効果が期待できる内服薬です。海外では標準治療の一つであり、米国では食品医薬局(FDA)により重症・難治性の結節性ニキビに対して承認されています。。米国皮膚科学会(AAD)の最新ガイドラインでも、重症ニキビ、瘢痕を残しやすいニキビ、標準治療で十分な改善が得られないニキビ、心理的負担の大きいニキビに対して、イソトレチノインが推奨されています。
当院でもニキビ(尋常性ざ瘡)の患者さんが多いことを踏まえ、イソトレチノイン10mgおよび20mgの内服治療を開始いたしました。
本治療の位置づけについて
イソトレチノインは海外では広く使用されていますが、日本ではニキビ治療薬としての承認はなく、自由診療となります。
また、本治療に関する多くの臨床データは主に欧米(特にアメリカ人)を対象とした研究に基づいています。そのため当院では、日本人に合わせて用量や治療方法を慎重に調整しています。
なお、当院では本剤を海外医薬品輸入代行会社を通じて入手し、医師の管理のもとで処方しています。
イソトレチノインの作用
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の内服薬で、ニキビの原因に多面的に作用します。
- 皮脂腺を縮小し皮脂分泌を抑制
- 毛穴の詰まり(角化異常)の改善
- アクネ菌の減少
- 抗炎症作用
これにより、従来の治療で改善しなかったニキビにも高い効果が期待できます。
このような方におすすめします
- 炎症の強いニキビが多い方
- ニキビ跡(瘢痕)を防ぎたい方
- 繰り返し再発するニキビでお困りの方
- ニキビによる見た目の悩みや心理的負担が大きい方
- 外用薬や抗菌薬内服で十分な改善が得られなかった方
※安易な処方は行わず、適応は医師が判断しますので、ご希望に沿うことができない場合もあります.
累積投与量の重要性
イソトレチノイン治療では、1日の内服量よりも「どれくらいの総量を体に取り入れたか(=累積投与量)」が非常に重要とされています。
👉累積投与量: これまでに内服した総量(mg)を体重(kg)で割った値(mg/kg)
米国皮膚科学会の最新ガイドライン(2024年)では、累積投与量120~150 mg/kgを目標とし、完全寛解後も少なくとも2ヶ月間治療を継続することが推奨されています。
再発と治療の考え方
イソトレチノインは再発しにくくする治療ですが、一定割合で再発がみられます。
- 再発率:約22.5%
- 再治療が必要:約8.2%
- 再発までの中央値:約7.5か月
JAMA Dermatol 2025;161;(4):367-374.
治療期間
- 治療期間:通常4~6か月
- 症状に応じて用量調整
- 累積投与量を意識して再発予防
※効果発現まで数週間~数か月かかります。当院では、10mgまたは20mgから開始し、症状や副作用をみながら調整します。
主な副作用
イソトレチノインでは副作用は比較的よくみられますが、多くは用量依存性で、減量や中止により改善する可逆的なものです。特に多いのは次のような症状です。
■ よくある副作用
- 口唇炎、口や皮膚の乾燥(ほぼ全例)
- 鼻の乾燥、鼻出血
- 目の乾燥、コンタクトレンズの違和感
- 筋肉痛、関節痛
- 一時的なニキビの悪化(初期)
■ 検査異常
- 肝機能異常
- 中性脂肪・コレステロール上昇
精神症状については、抑うつや気分変動との関連が完全には否定も確定もされておらず、治療中は気分の変化にも注意が必要です。気分の落ち込み、不安感、眠れない、意欲低下などがある場合は、早めにご相談ください。
妊娠に関する重要な注意
イソトレチノインは非常に強い催奇形性があるため、妊娠中の方、妊娠の可能性がある方には使用できません。そのため当院でも、妊娠可能年齢の方には、治療開始前および治療中の妊娠確認、確実な避妊、内服中および終了後一定期間の妊娠回避について十分に説明したうえで処方します。授乳中の方も内服できません。
女性の避妊期間
👉 内服終了後 少なくとも1か月(30日間)は避妊が必要です。
治療中に必要な検査
イソトレチノインは安全に使用するため、治療前および治療中に定期的な診察と採血を行います。主に確認するのは以下です。
- 肝機能
- 脂質(中性脂肪、コレステロールなど)
注意事項
以下に該当する方は内服できない、または慎重投与となります:
- 妊娠中・妊娠希望・授乳中の方
- 15歳未満(原則推奨せず)の方
- ビタミンA過敏症の方
- テトラサイクリン系の抗菌薬を内服中の方
- うつ病その他の精神疾患で治療中の方
- 肝機能障害・脂質異常症のある方
イソトレチノイン内服(自由診療)
| 内容 | 料金(税込) |
| 初診料 | 3,300円 |
| 再診料 | 1,100円 |
| 10mg(30日分) | 8,250円 |
| 20mg(30日分) | 13,200円 |
| 採血(肝機能・脂質など) | 3,300円 |
※用量は症状・体重・副作用を考慮し医師が決定します
※通常4~6か月程度の内服が目安です
※自由診療のため保険適用外です
