ヘパリン類似物質ローションの自主回収について

2026年10月13日、日東メディック株式会社は、保湿剤として広く使用されている「ヘパリン類似物質ローション0.3%『NIT』」の一部製品から、発がん性が懸念される物質が検出されたとして、自主回収を開始しました。

今回の自主回収について、その背景と健康への影響、対応についてご説明します。

■ どのような物質が検出されたのでしょうか?

今回検出されたのは、「N-ニトロソジイソプロパノールアミン」というニトロソアミン類の一種です。

ニトロソアミン類には発がん性を示すものがあり、医薬品に含まれる量について厳しい基準が設けられています。

今回、製造から長期間経過した一部の製品で、設定された管理基準を超える量が検出されたため、自主回収が行われることになりました。

■ 使用するとがんになるのでしょうか?

今回の製品を使用したことで、直ちにがんになるということではありません。

ニトロソアミン類の許容摂取量は、原則として70年間にわたって毎日摂取することを想定し、生涯の発がんリスクが十分に低くなるよう設定されています。

製造販売元は、今回の製品について、生涯の発がんリスクを著しく高める可能性は極めて低いと説明しています。

また、現時点で今回の問題に起因する健康被害は報告されていません。

ただし、長期間使用した場合のリスクが完全に否定されたわけではないため、回収対象製品については使用を控え、医療機関や薬局にご相談ください。

■ すべてのヘパリン類似物質製剤が危険なのでしょうか?

いいえ。

今回の自主回収の対象は、日東メディック株式会社が製造販売する「ヘパリン類似物質ローション0.3%『NIT』」の特定の製造ロットです。

他社のヘパリン類似物質製剤や、ヒルドイドなどが一律に回収対象となっているわけではありません。

ヘパリン類似物質は、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの治療に広く使用されている医薬品です。

今回の問題によって、ヘパリン類似物質そのものの保湿効果や治療上の有用性が否定されたわけではありません。

■ 現在使用している患者さんはどうすればよいのでしょうか?

現在、ヘパリン類似物質ローションを使用している方は、まず製品名をご確認ください。

「ヘパリン類似物質ローション0.3%『NIT』」を使用している場合は、容器や包装に記載された製造番号(ロット番号)を以下のサイトから確認し、回収対象に該当するかどうか、処方元の医療機関や調剤薬局にお問い合わせください。

PMDA:製造販売元による自主回収のお知らせ(対象ロット一覧)

回収対象製品の場合は使用を控え、代替の保湿剤についてご相談ください。

なお、これまで使用していたことを理由に、特別ながん検診や血液検査を受ける必要があるという医学的根拠は、現時点ではありません。

■ 当院から患者さんへ

今回の自主回収は、医薬品の品質と安全性を確保するための予防的な措置です。

過度に心配する必要はありませんが、回収対象製品については適切な対応が必要です。

保湿剤は、アトピー性皮膚炎や乾燥性皮膚疾患の治療において重要な役割を担っています。

今回の報道をきっかけに、すべての保湿剤の使用を中止する必要はありません。

ご不明な点がございましたら、診察時にご相談ください。

虎ノ門皮膚科・アレルギー科クリニック